東京農業大学、昆虫機能開発研究室の最新ニュースをお届けします。


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長島ゼミの研究シーズ

長島ゼミの研究シーズ (東京農業大学農学部農学科教授 長島孝行)

長島ゼミでのキーワード
全体KW:資源・エネルギー・人口・健康・食糧

(重要なことはこれらを切り離していくと問題になる。これらは地球の一つのシステムとして考えている。)

目的KW:千年持続学、資源の枯渇、脱石油、成熟型国家、ライフスタイルと科学技術のパラダイムシフト
研究KW:インセクトテクロノジー、ニューシルクロードプロジェクト



インセクトテクロノジーとは:1995年頃に作った私の造語で、昆虫等の生き物の機能性やナノレベルの構造、個体の習性などを社会に活かすというもので、自然なアドの再生可能資源と経済を両立させようというテクロノジーの一つである。昆虫類は種類も個体数も多く、その量は人類の15倍とも云われている。
 これまでのバイオミメティックスのように、生物の構造を単に石油等で模倣するのではなく、リサイクルや生き物の素材を利用するなど持続性を視野に入れた研究である。
図千年持続社会(出典)

ニューシルクロードプロジェクトとは:日本の養蚕学(桑、カイコ、糸作りの学問)や養蚕技術は世界一である。国家はこれまで莫大な研究者とお金を投資してきた。その結果、日本は絹で外貨を稼ぎ、近代国家の基礎を築いたのは言うまでもない。その象徴の街が横浜である。ちなみにアメリカは綿で稼いだ国である。
 ところが我が国は、この世界に誇る養蚕業から完全に撤退した。今から5年前のことである。理由は、エドウイン・ドレークの石油の発見により繊維も安い石油系化学繊維に変わってきたからである。しかし、使える石油は後何年あるのだろうか?35年先には枯渇する。一方、日本には毛、綿というものづくりはない。食の自給率がカロリーベースで40%(生産額ベースでは66%)であるのに対し、「衣」の自給率はどれだけなのだろうか?実際には1%以下である。
 この点も何とかしなければならない。そこで立ち上げたのがニューシルクロードプロジェクトである(2005年)。これまでの研究者を活かし、桑を活かし、繭を活かし、製品ゴミを活かす養蚕のパラダイムシフトである。
プロジェクト図(出典)




長島ゼミの研究シーズ事例


○「シルクタンパク質から化粧品・食品の開発」

 シルクは繊維だけという時代は終わった。近年ではシルクが高純度のタンパク質であることを中心に、我々はシルクタンパク質には菌を増やしも殺しもしない「静菌性」、紫外線のB波をカットする「UV遮蔽性」、アレルギーを起こしにくい「生体親和性」、脂などを吸着させる「吸脂性」の他、「無味無臭」かつ難消化性の「レジスタントプロテイン」であることを突き止めた。 これは加水分解をしたアミノ酸混合物にはない機能である。更には研究課程で溶液からパフ、そしてプラスチック化までの「加工技術」も簡単に出来るようになった。
 これらの機能性を活かして、現在研究室発の製品が販売されている。食べるシルクは、ラット実験は勿論、現在2千人以上の臨床検査を実施しており、医学雑誌にも研究論文を発表している。特にHbA1c、中性脂肪、コレステロール等に明確な効果が得られている。また、美容液に関しては千人を超えたモニター実験をしており、アレルギーの発現はみられていない。防腐剤などもゼロの為、飲んでも問題はない。シワ、シミ、保湿などに効果が得られ、アレルギーの方にも使ってもらっている。リピーター率は高い。

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図左 「食べるシルク」(生体親和性、吸脂性、レジスタントプロテインの機能性を利用)
図右 「防腐剤ゼロ、石油系化学物質ゼロの美容液」(生体親和性、UV遮蔽性、吸脂性、静菌性の機能性を利用)


これらの原料には、これまでゴミとされていた屑繭や屑糸を利用している点も大きな特徴である。


○「カイコ以外の昆虫からのシルクのナノ構造を利用した天然機能性繊維の開発」

 地球上にはカイコ以外にもシルク(絹糸)を吐く昆虫は10万種を超える。中には、ラグビーボール以上の繭を作るものや金色、銀色の繭を作るものまでいる(金色の繭は、愛知万博、洞爺湖サミットでも使用)。また、シルクを作り出す昆虫も蛾だけでなく、チョウは勿論、コウチュウの仲間、バッタの仲間など実に様々である。
こうした生き物からのシルクをニューシルクと呼んでいる。これらはそれぞれナノ構造も機能性も異なる筈である。

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図 金銀銅色に輝く繭も世界には存在する。

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図 ヤママユガ科シルクの断面。直径200ナノの極細いチューブが多数存在する為、断面には穴の様な構造が見られる。

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図 インドに生息するタサールサンとムガサンのシルクを利用した日傘である。カイコシルクに比べ、紫外線A波、B波を殆ど遮蔽する。しかも極めて軽いのも特徴のひとつ。


 また、この仲間の糸を綿にハイブリッドさせた天然機能性繊維もシキボウ(株)と共同開発した。軽く、滑らず、アンモニア消臭性が高い、化学物質ゼロという観点から昨年キッズデザイン賞も受賞した。汗をかいても体に張り付くことがあまりない。この企業は売り上げの一部をムシを飼育しているカンボジア農家に応援をしている。

<桑の利用>
○「世界一おいしい桑葉パウダーの開発」

桑葉はカイコの餌、そう思っているあなたは一昔前の人間。 時代は変わり、桑葉には青汁原料も及ばない有効成分が盛り沢山、だったら有効利用しようという時代なのです。 桑の葉には1-デオキシノジリマイシン(DNM)が含まれます。植物の中では唯一桑に存在する成分で、大変貴重な成分です。このDNMは、血糖値の上昇を抑えてしまう働きがあります。研究報告でも同様な結果で、確かに血糖値上昇を見事に抑えます。糖の気になる方には便利な植物かもしれません。 良く聞きませんか?桑には害虫が付かない、と。これは他のムシが食べてもDNMを消化できず、栄養にならないからです。カイコはこれを消化する能力がある珍しいムシなのです。ですので、桑は「無農薬」で育てることができるのです。


桑は1種類と思っている方はいませんか? 実は数百品種もあります。当然DNMの成分も品種で異なります。高いのから低いのまで様々です。また、桑には、高濃度のポリフェノール(ケールと同等)、鉄、カルシウム(ケールや大麦若葉とは比較になりません)が含まれるのも特徴です。 問題は味です。世界中の桑パウダーを飲み歩きました。殆どのものが不味いのは事実です。また、水に溶かすと直ぐに沈んでしまったり、茶色に変色したりします。喉越しも悪いのが多かったです。 そこで、私は世界一美味しい桑パウダー作りに2年かけました。独自の製法で桑の葉を独特なパウダーに加工しました。この製法で作った桑は、上のような現象が殆ど起きないのも特徴です。

同じ品種なら成分も同じだと思っている方、それは間違えです。
作物は、土壌条件、温度、照度などの環境によって成分がかなり異なるのです。
上記の「一製法」かつ「管理」を限定した我々の桑葉パウダーは、「+KUWA」と名付けブランド化しています。この「+KUWA」のもう一つの特徴は、農家を助ける為に桑を買いたたかない、地元の食べ物に混ぜて地元ならではの商品化に結び付ける、という意味もあります。すでに日本一の和菓子屋さん「たねや」の山本社長も我々のスタンスで数種類の商品を開発しています。

「+KUWA」はただの桑とは違います。
桑の主張は、食べた後にあなたの血糖値や鉄分、骨分に出ます。血糖値の気になるお父さん、カルシウムや鉄分の気になるお母さん、どなたにも利用可能な植物です。 「意外」と思うでしょうが、こんな素晴らしい健康食品原料が日本には昔からあったのです。我々は毎年桑の挿し木をしていますが、私たちの推薦するシルクファームは、熊本常盤松シルクファーム、南アルプスシルクファーム、そして今年から開始している福島県矢吹町シルクファームです。

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図 左から桑の葉、粉末、たねやあんみつ桑の葉、
南アルプスサクサクあめ

○「桑の実の利用」

桑の実、昔良く畑で食べたという方。貴女も一昔前の人間です。
実はこの実にも有効な成分が盛り沢山でした。
ブルーベリーと比較してみます。カルシウムはブルーベリーの5 倍、鉄分は8 倍あります。勿論ビ
タミン類も豊富ですので、利用価値があります。
何故今まで利用されなかったのでしょうか? それは収穫できる量が少ないことと、カイコの餌の
実だからでしょう。また、収穫が熟した6 月の短期間であることも関係しています。
桑の実は染色剤としても利用可能です。研究室では、これらの機能性についても研究中です

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図左 無農薬京都産の桑の実と小田原レモンを使用した桑ジャム。地中海市場で発売中。
図右 「+KUWA」(一製法かつ品種を限定した桑葉パウダー)
2016/04/22(編集 上原)(3/4)

ニューシルクロード、長島製法の限定粉末+KUWAを用いた 6次産業化において開発され、実際に発売されている商品の事例(抜粋)
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高尾山ビアマウント 八王子焼き

2016/04/22(編集 上原)(4/4)

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お団子+桑パウダー+黒蜜
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桑の葉シフォンケーキ



○生き物から学んだ「タマムシ発色」
 タマムシやクジャクなどは、特別な色素を持たず自らを発色させる構造色を表皮や羽で作り上げている。何れもナノレベルの緻密な構造であるが、このナノ構造を再現できれば、これまでのような塗料を持ちいらずとも発色することが可能である。 
タマムシは、図のように表皮に百ナノ前後の規則的な層状構造を作ることにより緑色、紫色を発していることが分る。当然、そのピッチ(間隔)が違えば色も異なる。

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図 タマムシとタマムシ表皮の電子顕微鏡切片写真
常温常圧でこのような色を作り出し、表皮の断面には、ナノレベルの規則正しいピッチがみられる。


 このナノ構造を再現することに成功した。新潟の中野科学との共同研究で現在では、ステンレス、チタンに応用することができる。重要なことは、この僅かなピッチの違いを技術でコントロール出来ることである。現在100色以上の色を作りあげることができる。図はその製品の一部である。

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図 タマムシの発色機能を真似た様々な色のチタン製品

 このような処理をすることにより、自由に発色できるのは勿論、他の素材が入らない為リサイクルが出来ることが重要である。車のボディに利用すれば、半永久的にリユースすることが出来る。また、素材が錆びることや変色することも、構造が壊れない限りないとこも特記すべきことである。

○クリプトビオシスを利用した死なない生物の作製
ただいま工事中!

○学生主導型の「カブトエビ農法」によるコメ作り
  →矢吹吉田
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 →講演のお知らせ
○埼玉県プロジェクト
ふるさと支援隊
○復興プロジェクト


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by insectech | 2014-03-10 00:00 | 研究シーズ | Comments(0)