東京農業大学、昆虫機能開発研究室及び生物機能開発学研究室(Bio Design Lab)の最新ニュースをお届けします。


by insectech×BDL
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【デザイン農学科】第一回「農業実習」のようす

夏日が続く日です。



今年も矢吹田んぼの学校や


中高生と行うSPPの授業の準備など、


研究室活動も増えてきて三年生も研究室に慣れてきたことでしょう。



既に三年生が記事を挙げてくれましたが


新入生歓迎会も無事行われました。


室員内でも交流が増えてきて、



少しづつ三年生の色が見えてきたところです。





さて、我々がかかわるのは上級生のみではありません。


先週、デザイン農学科の一年生に対する


「農業実習」が行われました。


今年発足したデザイン農学科。


記念すべき第一回目の農業実習です。





デザイン農学科自体、まだなじみがないと思いますが


その農業実習...想像つきますか?




「農学部」なので「農業」実習と銘打っていますが


「実習」を行えばいいわけです。



内容も先生方と我々(私はあまり関わっていませんが、院生など)で構成していきました。



初回、デザイン農学の登竜門となるのは...



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われらがカイコです!



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カイコというと、ファブリックから美容液まで


多種多様なキーワードが思いついてしまうのですが...



その入門とは何だろうと考えると


伝統的な「糸繰り」が挙がりました。



糸繰り体験、といっても


正直、機械を回すだけなんですが



問題は、何を見るか、です。



何周も巻き取って、へぇー、と思うかもしれませんが


よく考えてみてください、



この繭



一本の糸でできている という極めて重要な事実が分かります。




シルクが数少ない天然の長繊維として注目される根拠です。




しかもこの一本の糸


約1500m もあるんです。



そんな長いものを、あの小さなカイコが


休まず吐き続けて繭を作るのです。



カイコってすごい、シルクって神秘的だ


そんなことが感覚的にわかってもらえたと思います。




残念ながら農業実習の中でも、


実習=作業という発想の安易な授業もありますが...



作業を通して「学び」がなくては意味がありません。


教員は、何を見て、何を感じて、何を学ぶかを指導する必要があります。


そのうえで、「考えさせる」授業にもっていくのです。




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後半は櫻井先生の授業です!



こちらもカイコ。


今度は成虫の雌雄を使って


感覚器の実験をしました。




前提として、オスがメスを探すのです。


ほとんどの動物がそうです。



オスが着飾ってメスに選んでもらったり


メスを求めて遠くからオスが飛んできたり



生物種が違っても、男には女性を追い求める習性があるのです。




ではカイコはどうやってメスを探すのでしょうか。




シャーレに入った雌雄のカイコ。


シャーレを開けるとオスが反応して羽をばたつかせ、


メスに寄っていきます。



五感のうちの5択だったのですが


ほとんどの一年生が「匂い」と答えました。



それが「フェロモン」であることや


特別に鼻のような器官はなく、「触角」で知覚していることなど


結構知っていたようです。




ですが、一言に「匂い」といっても


その定義は大変難しいです。



触覚、味覚は感じ方こそ違えど、感じるものは大体同じ。


視覚、聴覚はいずれも波長を感じるものなので


紫外線、モスキート音など、感じ方が違うのは何となくイメージできます。




しかし匂いはどうでしょう?



匂い方の違いというものを感じたことはありますか?



シャーレの蓋を取るだけで、


カイコのオスはこれでもかというほど羽をばたつかせて


まさに「興奮」しているのがよくわかります...



そんなに反応するなんて、いったいどんな魅力的な匂いなんでしょうか?


一年生に嗅いでもらいました。




女子学生が嗅ぐと...


特ににおいません。


無臭、なのです。




では男子学生なら反応するか...?


こちらも特に反応なし。


無臭です。




別に一年生の男子が草食系だからではありません。



カイコのオスはあれほど反応していたのに


我々には匂いすらしないのです。




何故でしょう...?




匂いというのは要するに「分子」、化学物質ですので


知覚するためには官能基が必要になります。



実は味覚も同じような構造なのですが、


味覚は直接的で触覚もかかわってくるのでわかりにくいですね。



この官能基が、我々の鼻にあるものと、カイコの触角にあるものとでは違うのです。


よって、我々はカイコのメスが出すフェロモンを嗅ぐことができません。




逆はどうでしょう...?




ヒトがさわやかに感じる


シトラスの香りをカイコのオスに吹きかけてみました。



......


無反応です。



カイコもまた、我々が嗅いでいる匂いを嗅ぐことができないのです。



これには驚いている学生も多かったですね。


実験成功です。




そして、この触覚にある官能基さえ作ることができれば


そのカイコは何でも嗅ぐことができる


「匂いセンサー」


になります。



その精度はイヌの鼻以上



遺伝子組み換えを行って、ほかの昆虫が感受する匂いをカイコも嗅げるようにすれば


我々では嗅ぐことができないダニの匂いやヒアリの匂い、


麻薬の匂いや、将来的にはガンの匂いまで検知できるロボットになるかも知れません。




デザイン農学科として、


そうした社会貢献につながる、


というように話をまとめていただきました。




長島先生、櫻井先生、実習お疲れ様です!






さて、次回の農業実習は何でしょう?


お楽しみです!


(まだ考えていないのかもしれません)




どうぞご期待くださいませ。




以上、広報担当佐々木がお送りいたしました。







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by insectech | 2018-05-18 15:33 | 出来事 | Comments(0)